
内倉憲一 ニュースレター Vol. 355 のサムネイル
この営業は間違った考えから始まる
営業のメールを受け取ったときに、
「御社は〇〇をしていないからビジネスチャンスを逃しています」
「御社には△△の問題があります」
といった口調で始まるものを目にすることがあります。
私はこれが大きな間違いだと考えています。なぜなら、人は自分が必要ないと思っていることや、今の時点で困っていないことに対して、お金を払おうとはしないからです。
こうした営業は「相手が知らないことを教えれば商売につながる」と考えているのだと思います。しかし実際には、相手はそう簡単に動きません。むしろ「いきなり欠点を指摘された」というネガティブな印象が残り、逆効果になると私は思います。
人が買うのは「困っている時」と「興味を持った時」
私がお客様を見ていて感じるのは、お客様が本当に購入するのは、基本的に次の二つの場合です。
1. 今困っていることを解決するため
コストが高い、時間がかかりすぎる、手間が大きい…といった課題を抱えているとき、その解決策として商品やサービスが選ばれます。
2. 情報やきっかけから興味を持った時
展示会や紹介記事などをきっかけに「一度試してみたい」「面白そう」と感じたときです。衝動買いもこの範疇に入ります。
私はつまり、営業は「課題の解決」か「興味の喚起」のどちらかにつながらなければ、相手を動かすことはできないと考えています。
では、どうすればお客様に近づけるのでしょうか。
私はその答えはシンプルで、まずは信頼を築くことだと考えています。
「今どんなことで困っていますか?」と尋ねても、初対面では本音を話してもらえることはほとんどありません。相手から見て私はまだ「信用できる相手」ではないからです。
私は広告で信頼を得るのは難しく、成果も限定的だと思っています。だからこそ、ネットワーキングや対面での会話を重ねるようにしています。何度か顔を合わせ、雑談を交わし、時間をかけることで「この人なら話してもいい」と思ってもらえるようになるのです。
そのとき初めて、お客様の抱える課題や興味を聞き出すことができます。そこからようやく「本当の営業」が始まると私は考えています。
私は、営業は相手の欠点を指摘することから始まるのではなく、信頼関係の構築から始まるものだと考えています。信頼があってこそ、相手は課題を打ち明け、私の提案に耳を傾けてくれるのです。
営業の本質は「売り込むこと」ではなく「お客様の声を聞くこと」。
その第一歩は、相手にとって「安心して話せる存在」になることだと私は思います。
内倉憲一に関しては UCHIKURA CO のホームページから。
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