内倉憲一 ニュースレター Vol. 393 信用と契約
2026-06-10
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信用と契約

「日本は信用社会、アメリカは契約社会」とよく言われます。

これを聞くと、「日本人は約束を守るけれど、アメリカ人は守らない」という意味に受け取る人がいます。しかし、それは少し違います。実際には、日本もアメリカも約束を守ることを大切にしています。違うのは、その約束を支える仕組みです。

日本では、人と人との関係がビジネスの基盤になることが少なくありません。長年の付き合い、紹介、信頼関係、実績などが重視されます。

「内倉さんが言うなら大丈夫だろう」
「長年取引している会社だから信用できる」

このような人間関係の積み重ねがビジネスを支えているのです。そのため、日本では契約書があっても、問題が起きたときにまず話し合いで解決しようとします。契約書は重要ですが、それ以上に相手との信頼関係が大切だと考えられることが多いのです。

一方、アメリカでは考え方が少し違います。もちろん信頼関係は大切です。しかし、会社やビジネスは個人から独立した存在として考えられています。

  • 担当者が辞めても契約は残ります。
  • 社長が変わっても契約は残ります。
  • 友人同士であっても契約は契約です。

つまり、人ではなくルールに依存する仕組みが作られているのです。アメリカでは「相手を信用していないから契約する」のではありません。むしろ、「お互いを信用しているからこそ、誤解を防ぐために契約を明確にする」という考え方があります。

日本では信用が先にあり、契約がそれを補完します。
アメリカでは契約が先にあり、その上で信用が築かれます。

どちらが優れているという話ではありません。それぞれの社会が長い歴史の中で作り上げた仕組みです。

日本でビジネスをするときは人との信頼関係を大切にすることが重要です。そしてアメリカでビジネスをするときは、どれほど仲が良くても契約内容を明確にしておくことが重要です。

海外で仕事をする際に最も危険なのは、自分の常識が世界の常識だと思い込むことかもしれません。文化の違いを理解することも、国際ビジネスでは大切な能力の一つなのです。

 
 
 





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